割れ窓理論(Broken Windows Theory)
みなさんは、割れ窓理論(Broken Windows Theory)と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?簡単に言うと、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論のことです。と言われてもあまりピンと来ないと思いますので解説していきます。この理論を取り入れ活動している内容などを説明します。是非、企業・市/町内の組合行事・学校などに取り入れることで良い傾向に結びついていくと思います。
割れ窓理論(Broken Windows Theory)とは
「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名がある。破れ窓理論、壊れ窓理論、ブロークン・ウィンドウ理論などとも言われています。
- 建物の窓が壊れているのを放置すると、それが「誰も当該地域に対し関心を払っていない」というサインとなり、犯罪を起こしやすい環境を作り出す。
- ゴミのポイ捨てなどの軽犯罪が起きるようになる。
- 住民のモラルが低下して、地域の振興、安全確保に協力しなくなる。それがさらに環境を悪化させる。
- 凶悪犯罪を含めた犯罪が多発するようになる。
- 一見無害であったり、軽微な秩序違反行為でも取り締まる(ごみはきちんと分類して捨てるなど)。
- 警察職員による徒歩パトロールや交通違反の取り締まりを強化する。
- 地域社会は警察職員に協力し、秩序の維持に努力する。
上記を普段目にする事柄で表現すると
例1)駐車禁止エリアが有ったとします。
例2)飲食や喫煙、禁止の会議室・屋外スペース
その決め事(ルール)に準じて行動しなければいけないんです。一人で実施するのは、難しいし、まして全然知らない人に注意するのは、ちょっとってなりますよね。
だから、そこを管轄する部署や警察の方に軽微なことでも取り締まって貰うことが大事なんです。
オランダでの実験例
ある郵便受けの近くの壁に落書きがあったり、付近にごみが捨ててあったりした場合、被験者がその郵便受けから5ユーロ札入りの封筒を盗む割合は25%で、郵便受けの周りがきれいだった場合の13%を2倍近く上回った。
K. Keizerらは、オランダでのフィールド実験により、落書きや無節操な花火の打ち上げといった社会規範に反する行為やその形跡を見たときに、被験者も同様に社会規範を無視した行為を行いたがる傾向を実証した、と2008年に報告している。たとえば落書きの有無により、ポイ捨てや窃盗といった反社会的な行為の件数に、2倍以上の開きがあった。このフィールド実験から、反社会的な行動の痕跡を放置することは、モラルの低下を拡大させると結論づけている
企業や警察でも取り入れた活動事例
ニューヨークの例
ニューヨーク市は1980年代からアメリカ有数の犯罪多発都市となっていたが、1994年に検事出身のルドルフ・ジュリアーニが治安回復を公約に市長に当選すると「家族連れにも安心な街にする」と宣言し、ケリングを顧問としてこの理論を応用しての治安対策に乗り出した。
彼の政策は「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策と名付けられている。具体的には、警察に予算を重点配分し、警察職員を5,000人増員して街頭パトロールを強化した他、
- 落書き、未成年者の喫煙、無賃乗車、万引き、花火、爆竹、騒音、違法駐車など軽犯罪の徹底的な取り締まり
- ジェイウォーク(歩行者の交通違反)やタクシーの交通違反、飲酒運転の厳罰化
- 路上屋台、ポルノショップの締め出し
- ホームレスを路上から排除し、保護施設に強制収容して労働を強制する
などの施策を行った。
そして就任から5年間で犯罪の認知件数は殺人が67.5%、強盗が54.2%、婦女暴行が27.4%減少し、治安が回復した。また、中心街も活気を取り戻し、住民や観光客が戻ってきた。
その反面、無実の人間が警官により射殺されるという深刻な事態も発生し、アマドゥ・ディアロ射殺事件においては大規模なデモに発展した。
日本の例
2001年に札幌中央署(北海道警察札幌方面中央警察署)が割れ窓理論を採用し割れ窓を違反駐車に置き換えて、すすきの環境浄化総合対策として犯罪対策を行った。具体的には北海道内最大の歓楽街のすすきので駐車違反を徹底的に取り締まる事で路上駐車が対策前に比べて3分の1以下に減少、併せて地域ボランティアとの協力による街頭パトロールなどの強化により2年間で犯罪を15%減少させることができた。これを受けて各地の警察署からヒアリングなどが活発化している。
警察庁は平成14年度版『警察白書』において、次のように述べている。
犯罪に強い社会を構築するためには、これまで取締りの対象外であった秩序違反行為を規制することにより犯罪の増勢に歯止めを掛けることも重要な対策の一つであると認められる。— 警察庁編『平成14年 警察白書』第1章第3節東京都足立区は、東京都でもっとも治安が悪いともされていたが、割れ窓理論に基づいた「ビューティフル・ウィンドウズ運動」を実施。それにより、刑法犯罪認知件数総数減少の効果が見られ、2019年の刑法犯罪件数はピーク時と比べて8割も減少した。
東京ディズニーランド・東京ディズニーシー
ビジネス界において、割れ窓理論を適用して成功を収めている例がある。
それが、東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは、みなさんディズニーランド行った時にいつも綺麗と感じたこと無いですか!
ほうき・ちり取りを持っていつも綺麗にしてくれているキャストさんをカストーディアルキャストと呼びます。がそのキャストさんが常のパーク内を清掃している姿を見ると思います。
そして、ささいな傷をおろそかにせず、ペンキの塗りなおし等の修繕を惜しみなく夜間に頻繁に行っているんです。こうすることで従業員や来客のマナーを向上させることに成功している。
だから、みなさんは楽しくパーク内で夢の国(時間)を満喫できるんですね!これも人間の心理があると思うのですが、パーク内に入る時もキャストの方は、いらっしゃいませとは言わないのみな
さん気付いてましたか!ゲートをくぐると「いってらっしゃい」だと思います。そしてゲストは、その言葉に対して「行ってきます」と言葉を返しています。
これも、みなさん何気に使っていると思いますが、「行ってきます」の意味は、どこかに行っても無事に帰ってくるを意味します。だからみなさんは、またディズニーランドに行くんですよ(笑)
話しが少しズレましたが、いつも綺麗にすることで環境を良くし、ゲストが素敵な時間を過ごせるんです。常に綺麗な環境を維持することで大きな問題が起こらないようにされてるんです。
実際、私も前職の研修(新入社員)のスケジュールにディズニーランドがありました。この時の研修目的は、一日自由に遊びなさい、そしてキャストの人の対応やパーク内の環境がどうなのかを
見て感じてレポートするという内容でした。遊びながら学ぶ、接客マナーやパーク内(会社に戻れば乱れた所はないか)、ようは「おもてなし」「気付き」を学ぶでした。
この研修は、下手な部屋に閉じ込めた研修よりも非常に学ぶことが出来ます。だって楽しいことしながら学ぶから凄く吸収するんですよ。研修スケジュールに取り入れた教育担当者の方も凄いですが(笑)
まとめ
今回は、割れ窓理論について説明してきましたが、この活動を取り入れ活動されている企業や市などもあります。実は、簡単なようで難しいんですよね。町内の組・班、そして学校や市役所に企業や
警察で取り入れれば、必ず良くなっていく、直ぐには結果が出ないんですよ。いかに継続するかが大事ですね。その為には、トップの方が方向性を決めて進めて欲しいと思います。
是非、ディズニーランド等を参考にして進めて下さい。
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